芹葉飛燕草(セリバヒエンソウ)
2012-04-16


昨年も短い記事乍、取り上げたこの花。 其の際に分類を記したが、此れに関して御質問を頂戴したので、少し丁寧に書いて置きたい。 昨年は「キンポウゲ科 オオヒエンソウ属/デルフィニウム属」と書いたのだが、このふたつの属名は日本語表記と横文字表記の違いだけで、同じ属を表して居る。 「 Delphinium 属」と書けば良かったかも知れない。 Delphinium は、希臘(ギリシャ)語の「delphinos(海豚:イルカ)」が語源だが、此れは花形では無く蕾の形が由来。 欧米人と東洋人では、目の付け処が違うらしい(笑)。 Delphinium 属は、嘗てはヒエンソウ属と邦訳されて居たが、飛燕草が Delphinium 属から Consolida 属に移されたので、Delphinium 属の和名は、オオヒエンソウ属と改められた。 飛燕草の学名も、Delphinium ajacis から Consolida ambigua に変わり、此れに伴い、Consolida 属の和名がヒエンソウ属と為った。 この辺りの事情を知らずに(或いは無視して)書かれた文献も少なくないので、混乱を来たして居る様だ。 更に、芹葉飛燕草を飛燕草と紹介して居るケースも有って、混乱に拍車を掛ける… 前述の様に「デルフィニウム」と云うのは花の名前では無く属名なのだが、花屋さんの店先には飛燕草の仲間の園芸品種が、この花名で並んで居て、もう訳が判らなく為って仕舞った。
尚、芹葉飛燕草の学名は、「Delphinium anthriscifolium」。 anthriscifolium は、「(セリ科の)シャク属(Anthriscus)の様な葉を持つ」と云う意味だ。

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<フォト1:芹葉飛燕草>

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<フォト2:飛燕草>

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<フォト3:デルフィニウムの名で販売されて居る園芸種>

芹葉飛燕草は中国原産で、明治時代に日本に渡来した。 栽培されて居た小石川植物園から逃げ出し(逸出帰化種)て、関東地方で野生化した。 中国の「還亮草」や「魚燈蘇」が、芹葉飛燕草に思える。 亦、「中国本草図録」(中国の図鑑)の Y/2591 では「寛距翠雀花」、Z/3088 では「川西翠雀花」、「川黔翠雀花」、「鐵脚草烏」として紹介されて居る。 矢張、鳥に関わる名称が多い様だ。 この他にも中国での花名が此等の中国の図鑑に掲載されて居るが、日本の漢字には無い文字が使われて居るので、表記出来ない…
花はブルーが入った紫色で、疎らな総状花序に付く。 外側の花弁状に見えるのは萼片で、5枚有る。 最上部の萼片は10mm程の距を持つ。 花径と云うか(花弁に見える)萼片の直径は、10〜20mm。 上側の2枚の花弁は斜めに延びる長い距(此処から大量の蜜を分泌)を持ち、下側の花弁2枚は10本程有る雄蕊を覆う様に寄り添う。 小さなバナナの様な3本の鞘は、袋果(果皮が破れて種子を弾き飛ばす)だ。 デルフィニウム属の花らしく、アルカロイドの一種で有るデルフィニンを含み、喰べると下痢や嘔吐を発症し、死亡する事も有る。
花言葉は、「軽薄」、「華やかな雰囲気の」、「陽気」等が見付かった。 3つ重なると… そんな人、思い当たりません(笑)?
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